「これ、いくらにしよう」
値段を決める段になると、僕はいつも手が止まりました。
本当はもう少し高くしてもいい気がする。
でも、そう思った瞬間に不安になる。
「こんな自分が高く取っていいのか」
「高くして売れなかったらどうしよう」
「相手に高いと思われたら嫌だな」
そう考えて、結局いつも安くしていました。
相場より安い。
自分でも少し安すぎるとわかっている。
でも、その方が安心できる。
昔の僕は、そんな値付けをしていました。
今日は「安売りしてしまう人の心理」について書きます。
安くするのは、自分に自信がないから
安売りの正体は、たいてい自信のなさです。
もちろん、戦略として価格を下げることはあります。
入口商品として安くする。
最初の実績作りとして価格を抑える。
期間限定で試してもらいやすくする。
そういう意図があるなら、安くすること自体は悪くありません。
でも、昔の僕の安売りは戦略ではありませんでした。
ただ怖かっただけです。
高くして売れなかったらどうしよう。
値段に見合わないと思われたらどうしよう。
自分にそんな価値はないんじゃないか。
そういう不安から、安くしていました。
商品を安くしているようで、実際には自分を低く見積もっていたんです。
「この内容ならいくらか」ではなく、
「自分なんかが高く取っていいのか」
で考えていました。
ここが一番苦しかったところです。
価格を決めているようで、実は自分の価値を裁いていた。
昔の僕がやっていたのは、まさにそれでした。
安いと、かえって信頼されないこともある
安くすれば売れる。
そう思い込んでいた時期があります。
価格を下げれば申し込んでもらいやすい。
安ければ相手に優しい。
高くない方が文句も言われない。
でも、これは半分しか正しくありません。
安いことで買いやすくなる場合はあります。
ただし、安すぎることで不安にさせる場合もあります。
「この価格で本当に大丈夫なのか」
「内容が薄いのではないか」
「自信がないから安いのではないか」
そう見られることもある。
価格は、ただの金額ではありません。
その商品に対する自信。
相手に渡せる価値。
どのくらい本気で向き合うのか。
そういうメッセージにもなります。
安くすれば親切、とは限りません。
安すぎる価格は、相手に不安を渡すこともあります。
もちろん、無理に高くすればいいわけではありません。
でも、自信のなさをごまかすために安くするのは、相手のためにもなりません。
値段は「作業量」だけで決めない
安売りしてしまう人は、値段を自分の作業量で考えがちです。
これくらいの時間しかかからない。
この程度なら高く取れない。
まだ自分は初心者だから安くしないといけない。
そんなに大したことはしていない。
昔の僕もそうでした。
自分がどれだけ苦労したか。
何時間かかったか。
どれだけ立派な資料を作ったか。
そこばかり見ていました。
でも、相手が本当にお金を払っているのは、作業そのものだけではありません。
その商品やサービスによって得られる変化です。
悩みが整理される。
迷いが減る。
次にやることが見える。
自分では気づけなかった問題に気づける。
遠回りしていた時間を短くできる。
こういう未来に対して、相手は価値を感じます。
だから値段を考えるときは、自分の作業量だけでなく、相手が得る変化を見る必要があります。
その人の悩みはどれくらい深いのか。
解決できると、どんな状態になるのか。
どれくらい時間や迷いを減らせるのか。
どんな判断ができるようになるのか。
ここを見ないまま値段を決めると、どうしても安売りになります。
→ 「誰のどんな悩みを変えるか」は「売る前に『一行』で決める」に書きました。
安売りは、優しさに見えて逃げになる
安くすることを、優しさだと思っていた時期があります。
相手の負担を減らしている。
買いやすくしている。
まだ自信がないから、安くする方が誠実だ。
そう考えていました。
でも、今なら少し違う見方をします。
安売りは、優しさに見えて、逃げになることがあります。
高いと言われたくない。
断られたくない。
期待されたくない。
責任を負いたくない。
自分の価値を問われたくない。
その怖さから安くしているなら、それは相手のためではありません。
自分が傷つかないための価格です。
厳しく言えば、安くすることで責任から逃げている場合があります。
もちろん、最初から高額にする必要はありません。
実績や経験に応じて、段階的に価格を上げるのは自然です。
でも、「怖いから安くする」と「戦略として安くする」は別です。
この違いは見た方がいいです。
安売りグセの根っこには、軸の弱さがある
なぜ自分を安く見積もってしまうのか。
理由はいくつかあります。
経験が少ない。
実績に自信がない。
比較対象が多すぎる。
断られるのが怖い。
でも、根っこには「自分が何を提供しているのかを掴めていない」という問題があります。
誰に向けているのか。
どんな悩みを解決するのか。
その人をどんな状態に変えるのか。
自分の経験や知識のどこが役に立つのか。
ここが曖昧だと、価格も曖昧になります。
自分でも価値を言語化できていない。
だから値段をつけるのが怖くなる。
怖いから安くする。
この流れです。
逆に、軸が通ると少し変わります。
「自分はこの人に、この価値を届けている」
「この悩みを、こう変えるための商品だ」
「だから、この価格には理由がある」
そう言えるようになると、値段に少し芯が出ます。
価格は、気合いで上げるものではありません。
相手に渡す価値を言語化した結果として、決まっていくものです。
→ その軸を整える話は『明鏡』レビューで書いています。
適正な値段は、相手への自信でもある
安売りは、一見すると優しく見えます。
でも、いつも自信のなさから安くしているなら、一度見直した方がいいです。
それは本当に相手のためなのか。
それとも、自分が断られるのを避けたいだけなのか。
自分の価値を低く見積もっているだけではないのか。
価格は、相手に対するメッセージです。
「この商品には、この価値があります」
「この悩みを、ここまで変えるためのものです」
「この価格に見合うように、ちゃんと向き合います」
そう伝えるものでもあります。
無理に高くしなくていい。
背伸びしすぎる必要もありません。
でも、自信のなさだけで安くしない。
誰のどんな悩みを、どう変えるのか。
そこを言葉にする。
そのうえで、相手が得る未来から値段を考える。
安売りをやめる第一歩は、価格表を変えることではありません。
自分が届けている価値を、ちゃんと見ることです。
安売りは、優しさとは限りません。
適正な値段は、相手への責任であり、自分が届ける価値への自信でもあります。
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